2006年1月14日土曜日

CES 2006の基調講演とプレゼンテクニック [ce]


私は日本の某家電メーカーでエンジニアとしてモノ作りに携わっている.

そんなわけで,この前の CES 2006 には非常に注目していた.特に Google,Yahoo,Microsoft,Intel,そして Sony,つまり家電メーカーという位置付けではないが現在のイノベーションの中心にいる企業と,最近では輝きを失いつつあると言われながらも家電メーカーとしてトレンドを作り続けてきた企業が,このネットと家電の融合が叫ばれている時代に世界最大の家電展示会でどんなことを発表するのか.

内容については様々なニュースサイトや Blog 等で既に紹介されているのでここでは書かないが,そろそろ活字の情報が出つくしてきたところで,各企業の代表の基調講演を自分の目で見てみた.

彼等がその内容を,実際にどのように,どれぐらいのプレゼンテーション能力で表現したのかを確かめたかったのだ.

話すリズムやテンポ,冒頭の3分でいかに聴衆をひきこむか,ジェスチャーの使い方やアイコンタクトの取り方,全体の雰囲気作り,映像や音楽の使い方,ゲストスピーカーを招くタイミングとゲストとどんな話をするか,そして何よりユーモアのセンス…など.

それにしても Sony は Tom Hanks, Google は Robin Williams, Yahoo は Tom Cruise といった具合に,ゲストの豪華さも CES ならではだ.

Intel の Otellini と Yahoo の Semel は見事だったし,Bill Gates もさすがに手慣れたものだ (多少 body language が不安そうに見えたが).
昨年 Sony の CEO に就任した Stringer は,残念ながらあまり印象に残らなかった (内容ではなくプレゼンとして).

なにより興味深かったのは,ネット社会の巨人として君臨し,世界が羨望の眼差しで見つめる Google の共同創立者である Larry Page が,壇上では非常にノービスに見えたことだ.台本を片手に,しきりに ah... um... と挟み,進行につまずき,咳払いをして (ピンマイク越しだから結構耳触り) "excuse me" と言う場面さえあった.

私は,スタンフォード大でプレゼンテーションの授業を受けたことがある.
Final exam (期末試験) は町のレストランでスピーチを行うというユニークな授業で,「聴衆を笑わせた時に,次に話し始めるべきタイミング」から「他人のプレゼンを評価するテクニック」まで,内容は多岐に渡っていたが,とにかくしつこく言われたことは「絶対に,ah... um... uh...と言わない」ことだった (日本語で言えば,話し始める前に「えー」とか「あのー」などと言わないこと).
実際にやってみると結構難しいのだが,それ以来,ニュースの記者会見から結婚式のスピーチまで,public speaking の場では非常に耳につくようになった.

ちなみに視聴した CES の基調講演の中で,話し方だけに限定すれば,誰よりもうまかったのは,彼等を最初に紹介していた CEA の Gary Shapiro (上の写真の人) かもしれない.


Microsoft: Bill Gates Keynote

Google: Larry Page Keynote

Yahoo: Terry Semel Keynote
Sony: Howard Stringer Keynote
Intel: Paul Otellini Keynote
全てこちらから


1 コメント:

Toshiya Hasegawa さんのコメント...

最高にcoolな企業のCEOが最高にcoolなプレゼンをするわけでもなかったようですね.
ただ,「どうして家電は繋がらないの?」と主張したり,内容自体にはなかなか目を見張るものがあったように思います.